ライトノベリスト、ヘビーノベリスト

二次創作とSSを書くブログだったんですが最近は……。ライトノベルを読む!読むの遅いのなんとかしたい!

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オリジナルSS「でことらっ!」

 藤原虎虎(ふじわらことら)とは幼なじみだった。毎日のように朝から晩まで遊んでいたし、彼女との関係は他の男の友達よりも深いものであった。というか虎虎という名前はそれだけで強そうなものであるが、実際他の男子よりも強く彼女とケンカをして彼女に勝ったやつは知る限りでは存在しない。そんな男勝りな性格と凶暴性が祟って彼女は女の子とはうまく関係が築けず、気が付けばいつも俺の隣にいた。俺なら殴っても蹴っても問題ないと思ったのだろう。
 そんな彼女にはひとつ大きな特徴があって、彼女は小さい頃からデコトラなる乗り物に憧れを抱いていた。大きくて綺麗。そして力強い。まさに彼女の理想のような存在。アレのどこがいいのか理解に苦しむのは俺だけではなかったようで、彼女の友達で共感してくれる人はいなかった。結局彼女は誰にも理解されることなくデコトラに希望を持ち続けていたのだ。
 中学生になって、俺と彼女の間には隙間が生じ始めた。彼女も俺も思春期に突入してお互いの距離をどう取ればいいのかわからなくなったのかもしれない。いつも俺の隣にいた彼女は女の子の集団に混じるようになり、俺は俺で変わらず男と遊んでいたから、いつの間にか本当に気が付かない内に彼女は俺の隣からいなくなっていた。
 高校生まで俺たちは同じ学校にいた。俺たちはお互いに気にとめながらも話す機会はなかった。ただ、彼女のデコトラ好きはなくなっていたようで、そんな噂が聞こえることもなくなった。彼女は完全に女の子になったのだ。昔の虎虎は俺の隣にも、通っていた高校にもどこにもいない。
 大学生になって、虎虎は免許を取得できる年齢になった。でも体がチビのままだからミニカーも運転できるかわからない。それにもう彼女にも会ってない。彼女と俺は違う大学に進学した。違う土地で違うことを学んで、俺と彼女の接点はもうない。
 と、思っていた。


 ある日の夕方。大学に通うため住んでいるアパートの隣に謎の大型トラックが駐車していた。
「は?」
 だがその大型トラックには電飾が施されていた。いわゆるデコトラである。状況が理解できなかった。なんでアパートの前に停まってるんだろ。引っ越しにしては派手すぎる。さすがに宅急便じゃないだろうし。
 運転席をのぞき込むと、猫のぬいぐるみがあった。見覚えありまくり。どうみてもあのボロいぬいぐるみはでことらちゃんなのだ。俺が小学生の頃虎虎にプレゼントしたやつ。彼女はその場ででことらちゃんと名付け、俺は怒った。でことらなんてへんな名前つけるなら返せ! イヤだ! もうでことらって決めたんだもん。 プレゼントしたくせに何故かケンカになった。もちろん負けた。なんでそんな些細なことに怒ったのか今でも覚えている。俺はでことらに彼女をとられるのが嫌だったのだ。
 そんな思い出話を思い出している場合ではなくこれがこの中にあるということは彼女がここにいるということ、このデコトラが彼女のものであることに間違いない。彼女があの時からデコトラへの情熱を捨てていなかったこととそれに乗ってここまでやってきたことに驚きつつもとにかくいったん部屋に戻ってカバンを置こうと思い、一階の奥へ進むと……虎虎がいた。
「あ……!」
 ドアに寄りかかるように三角座りしていた虎虎は俺の姿を捉えると立ち上がった。
「虎虎なのか?」
「タク、久しぶり。元気だった?」
 彼女の澄んだ声が懐かしく聞こえた。
「元気だよ。虎虎も相変わらず元気そうだな」
 彼女は立ち上がって爽やかな笑みを浮かべながらこちらに歩いてくると「ええ、元気よ」と言って何の前触れもなく俺の腹にグーパンを決めた。
「ぐほっっ!」
 内蔵が破裂したと思った。さっきの爽やかさはどこへやら彼女はものっっそい不機嫌顔だった。まさに天国と地獄。
「遅いんじゃアホぉぉ!! あんた私が何時間待ったと思ってんのよ! ちょっとは考えなさいよ!」
 なんか激昂してる!? 理解不能を超えた理不尽な攻撃は懐かし痛い。彼女は止まるところを知らずグーパンしてくるので俺はガードするのに必死だった。
「ちょっと考えても深く考えても今日お前が来るなんて予想できるかっ!!」
「うっさい何でもいいから謝りなさい全力で誠意を込めて!」
「悪かったマジごめんホントごめんだからやめろ!!」
「命令すんな!」
「わかったわかったやめてくださいお願いします」
 すると彼女も一応は満足したのだろうか、攻撃が止む。いやあ久しぶりに彼女の拳を味わった。予想通りというか予想したくなかったというか、彼女の力は年齢に応じて強くなっているわけでつまり威力強すぎだろ……。世界狙えるぞ。
 そして殴ってもなお彼女に揺れる程の胸は備わっていないことも偶然観測した。俺は何も悪くない。揺れないのが悪いんだ。
 彼女の意図が掴めないこの状態で「お前、何しに来たの?」なんて言ったらまたゴングが鳴りそうな勢いだったので、黙って彼女を見つめることくらいしかすることがなかった。
「見た?」
 は……?
「いや、パンツは見えなかったけど」
「んなこと聞いてないわよっ!! デ・コ・ト・ラ見たの!?」
「見た見た見ました見しまた否応無しに見せつけられました」
「よろしい!」
 あれ、この娘ってこんなに疲れる娘だったっけ……。
「じゃあ私のデコトラに乗りなさい!」
「は……?」
「いいからあんたは乗るの!」
 カバンを部屋に置くことも叶わず、彼女に引きずられるようにして俺はデコトラの助手席に乗せられ、彼女は運転席に乗……ろうとして苦戦していた。うまく上れないらしい。身長が小学生の時と大差ないからだろう。
「大丈夫か……?」
「だ、だ、大丈夫よ! あんたに心配されなくても私の愛車なんだから……んぅ!」
 虎虎はなんとかしがみついて上ろうとしていた。しかしスカート穿いてデコトラ乗る見た目小学生みたいな少女とはシュール以外の何者でもないというか……。
「スカート大丈夫か……」
「うっさいスケベ! 手伝いなさいよ!」
 そう言われては手伝う他になく、俺はドライバーシートの方から彼女の手を取って引き上げた。
「いつもはズボン穿いてるんだけど、、ぁ、ありがと……」
「なら今日もズボンにしとけば良かったのに」
「あんた今度通学中に轢くわよ?」
「なんで!?」
 デコトラはエンジンをかけて動き出した。10トントラックの巨体が動き出す。動き出す前は大丈夫なんだろうかと若干心配だったが運転技術は高いようだ。大きな巨体を苦もなく操る。
「デコトラ……買ったのか?」
「運送業で稼いで少しずつ貯めたの。トラックは中古だけどね」
「アルバイト?」
「そう。でも今は本業。長距離ドライバーの仲間入り」
「大学は?」
「辞めた。自動車工学よりも実際に乗車して走る方が何倍も楽しいもの」
 あまり動かないであろうシートを限界まで前にずらして、届いているのかわからないアクセルとブレーキを使い、大きなハンドルに小さな手をのせて、彼女は運転していた。おそらくかなり運転しづらいに違いない。それでも彼女はそんな気配を感じさせない上手な運転する。
「今日はね。初めてデコトラを点灯させる日なの」
「どういうことだ?」
「このデコトラ、まだ電飾を点灯させたことがないの」
「なんで? 付ければいいじゃん」
「うっさい! ばか!」
 その後も何か怒鳴ろうとして口をパクパクさせたが言葉にならなかったようで、ストレスが溜まってらっしゃる。カルシウム足りてないんじゃなかろうか。しかしここはどうやら黙っていた方がいいようだ。運転に支障をきたしてはまずい。虎虎は昔からキレると見境がなくなるからな。まだ死にたくない。
「いい!? わたしがデコトラを好きになったのはあんたのせいなの! だから責任とってもらうのよ! ……もちろん覚えてるわよね?」
「意味がよくわからないんだが……」
「あんた蹴り落とすわよ? そんで後輪で轢くわ」
 そんな足長くないだろなんて口に出した日には間違いなく意地でもトラックから強制下車させられるので黙っておく。
「あんた、覚えてないの?」
「いや、覚えてるよ!」
「じゃあ言ってみなさい」
「ん~と、デコトラに引かれそうになっていたお前を俺が助けたんだよ!」
「今ではわたしがデコトラ。タクを葬るのはもちろんデコレーショントラック。なぜなら、彼もまた、トラックに轢かれる特別な存在だからです」
「真顔で言わないで怖いから!!」
「覚えてないなら覚えてないって言いなさいよハゲ!!」
「ハゲてはいねえよ!」
「設定上ハゲてても問題ないわよ!」
「やめろ本当にそうなるから!!」
 トラックの中に静寂が戻った。気まずい。ここは素直に謝るべきだろう。
「なぁ……悪かった覚えてないんだ。言ってくれれば思い出すかもしれない」
 しかし彼女から反応はなかった。そんなに怒らせてしまっただろうかこんどはどの内蔵が殴られるのかなぁと彼女の顔を覗いてみると、綺麗な顔が崩れて涙がポタポタ……。泣かせてしまった。ああもう何やってんだ俺。最低だ。よくわかんないけど最悪だ。このハゲ!
「ぅ……あんたならっ……覚えててくれてると思ったのに……なんにも覚えてないんだね……全部わたしが勝手に思い過ごしてただけなんだ……うわああああああああああ私のバカああああタクのバカああああああああああ」
 もはや号泣していた。ハンドル離すなやばいやばいやばい。
「ごめんマジごめんだからとりあえず停めて下さいごめんなさい」
 デコトラがふらふらする。俺も虎虎もふらふらする。
「わたしより自分の命の方がかわいいんだうわああああああん」
「お前の方がかわいいから! 停めてええええええ!!」
 するとデコトラはするすると路肩停車した。あれ? なんか知らないけど成功したぞ。かわいいって言ったのが効いたのか? 俺天才じゃね!?
「もう一回言いなさいよ……」
「お前の方がかわいいから?」
「もう一回」
「お前の方がかわいいから」
「えへぇ~///」
 よし、なんとか凌ぎきった。
「ってなると思ったかボケぇえええ!! 何にも解決してないわ!!」
 ゴッ。
 と俺の頭に虎虎の拳がめり込んだ音がした。何かが陥没してもおかしくないレベル。
「あんたどうして覚えてないのよ! わたしの人生変えたきっかけを作ったのはあんたなのよ!? どうして、どうして……ぅぅ……」
 また泣き出した。なんで思い出せないんだ俺。なんとかしてやれあまりにも可哀想だ。見ているこっちが辛くなってくるしそれに思い出せない俺が悪いわけで、彼女にデコトラを見せた記憶をなんとか思い出すんだ。ん~と、ん~と、ん~と、んだああああああ。
「あ……思い出した」
「……すっ……あんた……嘘だったら承知しないわよ……」
「家出した時だろ」
 そう言うと彼女の反応を窺った。間違いない。ビンゴだ。



 当時小学生だった俺たちは家出したのだ。正確には俺だけが家出するはずだったのだが、虎虎は俺が家出をすると学校で口を滑らせてしまったばっかりに意地でも付いてくることを勝手に決意したのだった。小学生だったのだから、どうにもこうにも行ける範囲なんて限られている。俺と虎虎は俺のお爺ちゃんの家を目指したのだけれど、あっと言う間に日が暮れてだんだん怖くなった。
「ほ、本当にこっちで合ってるんでしょうね!」
 家から持ってきた地図では間違いなく祖父の家へ向かっているはずだ。
「合ってる。ただまだ半分も来てないよ」
「ちょっと地図貸しなさい」
 虎虎は俺が持っていた地図を奪い取るとぐるぐると回してうーんとうなって俺に戻した。
「ま、行くしかないわね」
「ごめんな」
「いいのよ。私が勝手に付いてきただけなんだからあんたのせいじゃない」
「でも朝まで着くかわかんないし……」
 と、言ったところで腰に痛みが走る。虎虎に蹴られた。
「うだうだ言うな」
「……ありがとう」
 断っておきたいが痛覚が快感になってはいない。
 車が時折通る程度で人の気配や民家の明るさなどは皆無だった。一人で来ていたら怖くなって帰ってしまったかもしれない。それでも彼女が隣にいてくれただけでとても心強かったしちゃんと前に進めた。とにかく月の明るさを頼りに歩いていった。
 気持ちというのはやはり身体から影響を受けるもので、そこからさらに数時間も歩くとお互いの会話がなくなって徐々に辛くなってきた。疲れもたまっている。横の虎虎なんかは俺に心配させまいと疲れを表情に出さないようにしているのがわかる。これでも幼なじみだ。そろそろ彼女も疲れていることだろうことが窺える。
 そんなことを考えていたけれどだんだん考えることも億劫になってきたとき、後ろの方からカラフルな明かりが迫って来ていた。
「あれ……なに?」
 虎虎の質問に俺は振り返る。
「トラック」
「でもトラックより綺麗」
「確か、デコトラって言うんだよ。きらきらしたのをトラックに付けるんだ」
「デコトラ……」
 闇に輝くデコトラは彼女にとって希望の光に見えたのだろうか。花火のような綺麗な輝きにみえたのだろうか。彼女の目はデコトラに釘付けになった。次第にデコトラが近づいてくる。すると運転手が気が付いたのかどうかわからないがスピードを緩め、俺たちの横に停車した。
 運転手のおじさんが何をしているのか尋ねる。小学生男女二人が人通りのない道を歩いていたのが気にかかったのだろう。俺がごまかそうとしたがその前に虎虎が家出、と答える。そういうのは駆け落ちって言うんだ、という返事と笑い。当時の俺たちがそんな言葉を知るはずもなくとにかく虎虎は要求した。お爺ちゃんの家まで乗せて、と。俺は知らない人とそんなにうまく交渉することができないし、なにより知らない人の車に乗るのはいけないことだと思っていた。でも虎虎はそんなことは気にせず、というか多分何も考えず、後先考えないで言っていたのかもしれない。俺は虎虎と運転手のおじさんが話しているのを聞いて改めて虎虎を尊敬していた。でも違ったのだ。後から考えてみると虎虎はお爺ちゃんの家に着くため、ではなくデコトラに乗りたいという、ただその一心でおじさんと交渉に当たっていたのだ。虎虎の行動力は凄まじい。
 数分後にはデコトラに乗っている俺たちがいた。虎虎は助手席に、俺は後ろのベッドに乗った。彼女が助手席に乗りたがったからだ。まずエンジンの音が違う。ディーゼルエンジンのゴツくて力強い音。ハンドルも大きい。そして高い。周りを見下ろせる。過ぎ行く田舎道はどこまでも信号がないような気がした。おじさんはデコトラを誇りに思っていると言い、虎虎は興味津々におじさんの全国を走った経験談を聞いていた。
 そうして俺たちはお爺ちゃんの家の近くまでたどり着き、無事に家出を達成したのである。デコトラのおじさんには感謝してもし足りない。そして虎虎にも感謝し足りない。あそこで虎虎がヒッチハイクまがいのことをしてくれなければ少なくても朝までかかっていただろう。しかしそんな経験の回想に浸っている場合でもなく翌日には俺の家から恐怖のオニババ(母)がやってくるのだった。おしまい。



「お前はあの時からデコトラに憧れていたのか……」
 二人で思い出話をしながらデコトラはディーゼルエンジンを再び唸らせ走っていた。
「そうよ。あの時家出しなければデコトラがあんなに希望の光みたくは見えなかったし、乗ることもなかったわ」
「でも俺は何にもしてないぞ。むしろその後がっつり怒られて大変だった記憶しかない」
「それでもあんたには感謝してるの。ありがとう」
「ん、ま、まあ……どういたしまして」
「着いたわ」
 そこはまさに俺たちがデコトラをヒッチハイクした場所。彼女の人生を変えた場所でもある。デコトラはゆっくりと停車した。
「ここで見せてくれるのか」
「……うん」
「どうした?」
「……っ! いいから降りなさい。私はぐるっと回ってここを通るからあんたはちゃんと見ときなさい! わたしの生き様を! 光を!」
 頷いて、トラックから降りる。
 少しだけ風の吹く道路をデコトラが去っていった。彼女が初めて点灯させるという電飾。その初走行を俺が見届ける。
 静けさがあたりを包み込んだ。満月に輝く月明かりだけが夜を照らしている。
「来たな」
 しばらく待つと向こうから明るい光が見えた。電飾の光。間違いなく虎虎のデコトラだ。青に赤に黄に緑、様々な色でデコレーションされたトラックはあの時と同じ、闇に輝く希望の光。俺は小学生の頃と今とを重ね合わせる。今、俺の隣には虎虎はいない。彼女はデコトラを運転しているのだ。まるで無事に卒業できた生徒を見送る教師のような気分だった。彼女も俺も今ではもう大人になった。もう会うことはないと思っていた二人を、デコトラが繋いだのだ。彼女の人生にはこれからもあの明かりが点っていくのだ。あの明かりが彼女の人生を照らし出してゆくだろう。
 デコトラが近づいてくると、その側面になにやら電飾が施されているのに気が付いた。文字だ。英語と日本語。


『I LOVE 拓也』

 拓也の文字(俺の名前)が非常に達筆に光っていた。なんだこの電飾。
「え……」
 助手席側の窓が開いて
「あ、あ、あんたへのわたしの気持ちを受け取れええええ!!」
とか叫んでいた。どうにもそれは間違いなく告白というやつなのではないか。え、でも小学校以来俺たちは段々と疎遠になったはずなのにどうして。
 トラックはそのまま俺の横を通り過ぎようとするのでたまらず追いかけた。トラックと人間じゃ普通に考えて置いて行かれるのだが虎虎はスピードを緩めて俺の反応を窺っているようだった。ミラー越しに見える彼女の顔は鬼のように真っ赤だった。という表現がふさわしい恥ずかしがり様。
「俺とお前は確かに昔は仲が良かったかもしれない。でも中学校から離れていったじゃないか。どうしていまになって!」
 叫んだ。エンジン音にかき消されないように思い切り。
「確かにそう! いつまでもべったりくっついているわけにはいかなかった。わたしは恥ずかしかったの。気持ちに素直になれなかったの。周りの視線や世間体ばかり気にするようになったの。勇気がなかったの。でも今なら言える。デコトラに乗った今ならわたしにも言える。いくら距離が遠くなってもあんたのこと忘れたことなんてないわ! 小学生の初恋こじらせたわたしを笑いなさい!」
 虎虎にとってのデコトラは勇気の源になっている……?
「中学生のわたしは誓ったの。デコトラを買ったら告るって! デコトラに乗ってあんたをヒッチハイクしてどこまでもさらって行くって! わたしには勇気が必要だった。ただのわたしにはあんたに告白する勇気がなかったの。ぶん殴る勇気はあってもそっちの勇気はさっぱりだった。だからこんな大きな力強くてかっこよくてきらきらしてるデコトラに乗れば告れると思ったの! わたしの足りない勇気を補えると思ったの!」
 なんつー理論だ。そんなぶっとんだこと考えるのはこいつくらいしかいない。だからこんなことしてんだろうけど。
「だから会いにきたのか! こいつを買って! 自分で稼いでここまで来たのか」
 デコトラが止まった。俺は息を切らしながら運転席へ回り込む。
「馬鹿よね。わたし馬鹿……大好きなデコトラに乗っても大好きなタクに会うのがこんなに遅れちゃ、意味ないよね……」
 彼女の頬を涙が濡らす。
「虎虎がそんな風に思ってくれていたなんてわからなかった」
「そうだよね……」
「でも嬉しいよ」
「ぇ……?」
「だって俺の初恋の人に告白されたんだから、嬉しいに決まってんだろ。中学校の時点であきらめてたんだけどな。正直今日お前が来てびっくりした。ちょっとドキドキしてる自分がまだいたんだよ……」
「それって……」
「お前が好きだ。虎と……がぁっ!」
 続きは言えなかった。飛び出してきた虎虎に抱きつかれて押し倒された。まさに虎が獲物を捕らえるような正確な攻撃。後頭部を地面に強打し意識を失いかけたがグラグラする視界の中虎虎だけははっきり見えた。
 と、思ったら彼女は俺を殴り始めた。完全にマウントポジションをとられているのでやられるばかり。
 なんでこうなってんの? ねえ誰か説明して。両想いってわかった瞬間にぶん殴られるとかなんなの!?
「こぉんのチキン野郎がぁぁあああああああああああ。好きならさっさと告りなさいよ死ねええええええええ」
「ええ!? ……へぶぅ! あがぁ!」
「わたし恥ずかしくて死にそうだったんだから!」
 どかっ、ばきっ、ごっ。めきっ、ばきゃ。
「俺は……本当……に死にそ……うだ……ぞ」
「あんたが中学校いやもっと前からわたしに告れば問題なかったのよハゲ!」
「それは本当にごめ……ぐあっ」
 どうやら、俺の言葉が届いたのか単に疲れたのか彼女は殴るのをやめた。前者であることを祈るばかりだ。俺は腫れて顔が真っ赤で彼女の顔もまた真っ赤だった。
「わ、わ、わ、わた、しのこと好き?」
 何て返すべきか。色々と選択肢はあるがここはストレートに言っておこう。
「……好きだよ」
「……」
 彼女はすっと立ち上がってデコトラに戻った。え? どうなってんの?
 ブロロロロロ。
 デコトラはエンジン音を奏でながらさっさとその場を去ろうとする。なんであいついきなり帰ろうとしてんの!? 俺バッドエンド選んじゃった系!?
 やばいやばい置いて行かれる。こんなとこで顔腫らした男がふらふらしてるとか洒落にならなくて警察行き決定だろというかどうやって帰れと! また小学生を思い出してあの道を歩いて帰るの!? 朝までかかるよ!?
「虎虎! 待て待て待て!!」
「うっさい! は、は、ハズいから帰る!」
「え!? いまさら!?」
 マジこいつ意味わかんねえ!
「俺も乗せろ! 帰り道覚えてねえよ!」
「まっすぐ行って国道出たら右よ」
「そんな答えは期待してねぇよ!!」
「ま、、また、勇気が出たら会いにいってあげる」
 どんだけ恥ずかしがり屋なんだよこいつは!
「大丈夫だ。俺から会いに行ってやる!」
「来んな!」
 断られたよ!?
「わたしは少しデコトラで旅にでるわ。あんたは待ってなさい!」
「もうどっちが主人公だかわかんねえよ!」
 そうして俺は綺麗なデコトラが小さくなるのを見送ったのだった。数日後までには俺がちょっとした有名人になっていた。あの電飾はいつまであのままなんだろうか。どうにも公開処刑な気がしてならない。そして俺は頭の生え際を気にするのであった。













ちょっと舞城風? になったかもしれないけどとにかく出来たのでうp

9000字くらいです。主人公の名前拓海にしようと思ったけどそんな感じでもないからやめましたw虎虎の声はあの人で脳内再生するとぴったりでしょう。

書き方をいつもと変えてみました。え? 変わってない? ほら、なんとなく改行少ない気がするでしょう?

というかデコトラの知識ないから無理ゲーw


ここまで来るのに…というかまず話を思いつくのに苦労しました。いかにしてデコトラを絡ませるのか。無理ゲーと思いつつ無いアイデアをひねり出す。デコトラなかったら楽だったのになぁ(何の縛りもないなそれ)

約束は果たした。ちゃんとぬいぐるみも出したことだし! うん、三題噺の方がまだ書けるレベルw




厳しいコメント慰めのコメントつっこみコメントとにかくコメントよろしくお願いしますw


もう寝るw
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